ニニの日記

白猫のニニ王子が、日々の暮らしを綴ってゆきます。

乙姫さんへ

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ねえ、乙姫さん

あなたも怪我をしたことがあるでしょう

記憶も、その時の傷と同じです

苦いにせよ甘いにせよ

そこばかり舐めていると

膿んで広がり、身を滅ぼすことさえある



今はそっと、流しておしまいなさい

思えば思うほど願いは叶うものでもない



あなたは当たり前と思いますか

時間も、この青い星の潮と同じ

場所が変われば、流れる速さも変わるということを

けれども

陸という異世界に生きる浦島さんには

わからない感覚だったのかもしれない



あなたは、真実の入った小箱を彼に渡した

彼がいつまでも開けずにいると信じていたわけでもありますまいに

真実であればあるほど目をそむけちゃいけないなんてことはないのに

それとも

自分のもとを離れた彼への、せめてもの仕返しだったのですか



楽園という異世界に生きるあなたにはわからないことなのでしょうか

人は、ひとところにはとどまれない生き物であること

人は、いくら待っても戻ることのない苦みを知って死んでゆくこと

人は、誰かの心身を傷つけるという弱さを抱えて生きていること



無理にわかる必要はないのでしょう

今はそっと

あなたのなかの浦島さんを、はなしておあげなさい



流れ流れて

一滴の水が辿り着くのは

いつかと同じ場所



めぐりめぐって

忘れた頃に

ふたたび会えることもありましょう



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