一年生になったら♪

　今朝は父さんと散歩に出た。父さんはいつも必ず本を手にしている。中毒のようなものだな。
いつも決まった時間に、人間の子どもらの声が聞こえてくる。「集団登校」というものらしい。近所同士で集まってから一緒に学校へ行くのだそうだ。集まった子どもらはきゃっきゃとはしゃいでいる。朝から元気だ。ボクは子どもは苦手なので、彼らの目の届かないところに移動する。
　
近頃、
「ニニちゃんも来年は7歳だから、学校に行かなきゃねえ」
ことあるごとに母さんが言うんだ。学校？
「ニニちゃんの体にぴったりのランドセルをあつらえてもらわなきゃねえ」
母さんは目を細めて言う。ランドセル？ああ、子どもが背中にしょってるやつね。
「ニニちゃんには真っ赤なランドセルが似合うかしらね」
「黒光りするランドセルも似合うんじゃない？」
「ピンクなんてどう？」
ふふん。ところで、学校とやらでは何をするんだい？
「みんなとお勉強したり、お歌を歌ったり、校庭で走ったり、校長先生の話を聞いたり」
「イヤ～ッッッ！！！」
ボクは最初から不登校で決まりだな。