ニニの日記

白猫のニニ王子が、日々の暮らしを綴ってゆきます。

ゆきちゃんのこと

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 ゆきちゃんという猫がいた。
 
秋のある日、突然我が家にやってきた。
雪うさぎかと思った。
まだ子どもだった。
 若が大切に大切に面倒を見た。

 大きくなってもゆきちゃんは、まるで子うさぎのようだった。
 誰が見ても可愛い猫だった。
 近所の雄猫は皆ゆきちゃんに恋をした。
 今だから言うけど、ボクもほんのちょっぴりゆきちゃんのことが気になっていた。

 でも、ゆきの相手は決まっていた。若が、いつもそばにいた。
 冬の寒い日は良く一緒に寝ていた。
 アンデルセン童話に出てくるカイとゲルダのように、仲の良いふたりだった。

 やがて、子猫のキャロが我が家に来た。
 若とゆきはやさしく迎え入れた。
 すぐに、キャロは若兄ちゃんとゆき姉ちゃんのことが大好きになった。
 
仲良し3匹組だった。
 御飯を食べる時はいつも3匹一緒だった。
 
ゆきとキャロは本物の姉弟のようだった。
春の暖かい日は、良く一緒に日向ぼっこをしていた。

 ゆきに触れるたび、母さんはため息をついた。
 猫じゃないような、本当に子うさぎのような、柔らかな毛並みだった。

 夏のある日、ゆきは突然いなくなった。
 
 それ以来、ゆきちゃんとは会っていない。
 ゆきがいなくなった後の若は、男やもめのようだった。

 いろんな猫が来ては去っていく。
 ゆきもそのひとりだった。
 
 
 歳月は静かに降り積もり、ゆきとの記憶を少しずつ覆っていく。


 今、もし仮にゆきちゃんが戻ってきたら、若とキャロはゆきのことが分かるだろうか。
 
 ゆきちゃんは今、どこにいるんだろう。

 よその場所で新たな家族を見つけ、幸せに暮らしていると信じたい。

 それとも、本物の白うさぎになって、遠い雪の国に行っちゃったのかな・・・。